せっかなくので、やってみた。

日々のあんなこと、こんなこと、せっかくなのでやってみた

無謀にもX68000compactXVIのコンデンサを総取り換えした件を振り返ってみた

※この記事はコンデンサ取り換え素人の私が独自に調べてトライした内容です。
道具の使い方など正しくない可能性があるので、参考に作業される方はあくまで自己責任でお願いします。

思い起こせば2013年の夏の終わり。
X68000 compact XVI(REDZONE)が起動しなくなってから1-2年経った頃だと思う。
なんとか自分の手で復活させたい(修理代が捻出できない)との思いから、遂に奮起してコンデンサ総取り換えを決意しました。
X68のコンデンサは、アルミ電解コンデンサや面実装コンデンサと呼ばれている取り外しの難しいタイプで、 パターンを剥がすなど失敗すると、再起不能になる可能性があり、ずっと作業を躊躇していました。
そのまま放置してもコンデンサから漏れ出した電解液でパターンが腐食し、どちらにしても再起不能になるのは 時間の問題なので、とにかくやってみるしかないという思いでした。
半田ごてなど、中学の技術の授業以来、数えるほどしか使ったことないので、まずは道具をそろえました。

  • テスター
  • 半田ごて40W、23W一本ずつ
  • 小手先クリーナー
  • 半田吸い取り線
  • 銅線
  • 精密機械用半田
  • フラックスクリーナー
  • 練習用のジャンク基盤(秋葉原のジャンク屋で購入)

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この写真のみ今回追加で撮影しました。練習用基板は当時のものですがパターンは剥がしまくっていました…。ページの最後にamazonのリンクを貼っておきます。

新しいコンデンサは選定の知識がないので、修理業者の方から一式取り寄せました。
コンデンサの外し方をネットで調べたところ、色々テクニックがあるみたいで、両方の電極を半田ごてで温めて少しずつコンデンサをずらす方法、 銅線をU字型に加工して電極にのせて一本の半田で同時に温める方法、銀色のコンデンサ本体をニッパで切り取り、台座を取り外す方法(これは後から知った※1)、色々テクニックがあります。
とりあえず、ジャンクの基盤で練習。
半田が古いせいか、こてを当ててもなかなか溶けない。両手で両端に半田ごてあてると、コンデンサをずらす手が足りない(w)ので、U字の銅線を使ったりして、なんとか取り外し成功しました。

※1 本体をニッパで切り取るのは、台座ごともぎ取ってしまいそうで怖いですが、こちらに動画が挙がっていました。こちらを見る限りは一番作業しやすそうです。
表面実装コンデンサーの交換作業風景 - YouTube

2,3個練習していよいよ実機に取り掛かりますが、まずはその前の分解がしんどい。
compactタイプの筐体のねじは一本のみで、ねじを外したあとは、パズルの様に分解してゆきます。各パーツがプラスチックの爪で 固定されているので、折らないよう注意しながら外してゆきます。(それでもフロントパネルの爪を一カ所折ってしまった。)
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こちらのサイトに非常に詳しく書かれていてとても参考になりました。

x68k-retro.cocolog-nifty.com 今もサイトがあって良かった!

取り外したメインボードはこんな感じ。コンデンサを取り付けるときに分かるように現状を撮影しておきます。
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U字の銅線はこんな感じで使いましたが、なかなか練習通りいきません。
半田が古いのか、こての使い方が下手なのか、思うように半田が溶けてくれません。

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半分無理やりでやっとの事外した感じです。周りのプラスチックを溶かしてしまった。

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パターンを剥がしてしまったら即アウトの中、この作業を60コ以上は心が折れそうになります。

がんばって外してくうち、だんだん慣れてきて油断したのか、とうとうパターンを剥がしてしまいました!
ADPCMの二階建て基盤のプラス側を剥がしてしまい涙目です。とりあえず辞めるわけにもいかないので、作業を進めました。
そんなこんなで3日かかってやっと全てのコンデンサを取り外しました。
結局、追い半田などでなんとか溶かす→吸い取り線で溶かした半田を吸い取る。というのが自分がやった中で外しやすかったと思います。

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コンデンサの取り外し後がだいぶ汚いです。

その後、風呂場で基盤全体がひたひたになるほどクリーナーをスプレーして洗いました。
正しいやり方なのか分かりませんが、スプレーで汚れを洗い飛ばしたあと、自然乾燥させています。
コンデンサの端子部分はさらに綿棒にクリーナーをつけてきれいに汚れをふき取りました。
真ん中のSHARPの白い帯に印字されていた日付も消えてしまった…。
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端子もきれいになったので、コンデンサの取り付けはそれほど難しくありませんでした。半田も簡単に載ってくれました。
しかし二階建て基盤のコンデンサをどうにかしないといけません。
あまり覚えていないのですが、確かテスターでパターンの繋がっている先を調べたのだと思います。で、隣の白いコードにつながっていたので、 銅線で無理やり空中配線しました。(w)
錆びるのが心配なので、半田メッキもしてあります。これで動いてくれると良いのだけど…。
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そしてやっとのことメイン基板のコンデンサ取り付け完了!
バックアップ電池も合わせて付け替えています。今思えばソケット化すればよかった…。
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68000CPUやシャープのカスタムチップやYM2151などが配置されていて、凄いかっこいいなぁ。

しかしこれで終わりではありません。拡張スロットとFDD基板のコンデンサも交換します。
FDD基板は元に戻せるよう、構造をチェックしながら慎重に分解しました。
最終的にプラスチックみたいなケーブルでモーターと繋がる部分以外は全て分解しています。
左下の写真の3つのコンデンサを交換。後ろに写っているHDDは作業台です。w
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これですべてのコンデンサの交換が完了しました!
とりあず電源だけ接続して、煙や変な匂いがでないかおっかなびっくり確認しました。
異常はなさそうなので、元通り組み立てて恐る恐るパワースイッチを押したところ…。無事起動しました!

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ADPCMも問題なく鳴っています。けどLINE OUTが片側しか出力しない…。
まぁ、素人の修理で起動までできただけでも良かったとしましょう。

ということで、素人でも練習と気力があればコンデンサ交換ができるという報告です。
しかし、その後電源が逝ってしまい、電源はさすがに怖くて手が出せないのでヤフオクの業者の方へ修理を依頼し、 LINE OUT含め修理していただきました。
正直、同じ作業をもう一度やれるかと言われるとしんどいです。
失敗のリスクや手間を考えると、現在ヤフオクで出品されている金額はかなり安い(部品代込みだし) と思うし、 まだメンテナンスしてくれる方がいるのは本当に助かります。

あと、コンデンサ交換の前からですが、たまにFDDを入れてもドライブランプが点灯せず認識してくれない症状がありました。
コンデンサ交換しても解消しなかったので、別の問題っぽいです。こちらの情報だと、
www.okqubit.net

下側のFDDのディスク挿入検知のマイクロスイッチ(入口左側)が動作不良になっていて、何回か押してちゃんと導通するようにしてやる必要があった。

との事なので、同じ問題かもしれません。現状ではあまりFDDは使用していないので放置。(w)
ただし、x68はFDDドライブが認識されないと起動しないので注意が必要です。

あれからもう6年たちましたが、今のところ問題無く動作しています。

【お知らせ】
YouTubeでもX68000に関する動画を配信しております。よろしかったらこちらもどうぞ。 www.youtube.com